おいしい肉といえば口の中で溶けると言われています。
牛肉のおいしさは「食感」、「うま味」、「香り」が決定付けるといわれ、口の中で溶ける食感を生み出しているのは、オレイン酸だと言われています。
オレイン酸=くちどけ食感の正体
おいしい肉といえば黒毛和牛をイメージする人は多いでしょう。その代表格、松坂牛の特徴はこうです。
松坂牛(高級和牛)の肉の特徴として、
- 子を産んでいないメス牛(メスの方がオレイン酸を多く含む)
- きめの細かいサシ(霜降り)と柔らかな肉質
- 深みのある甘く上品な和牛香
- 一般的な和牛より不飽和脂肪酸(オレイン酸)を豊富に含むため、脂肪の溶け出す融点が低く、舌触りが良く滑らかな口当たり
3の香り以外に共通するのは、牛脂の主成分のオレイン酸です。オレイン酸は13.5℃と低い温度で溶けるので、口の中で溶ける食感になるのです。
ちなみに松坂牛の脂の融点は約17℃といわれ、一般の和牛の約26℃と比べてもいかに低いかが分かります。
オレイン酸は酸化がしにくく加熱調理に向き、現代では過剰摂取のリノール酸(大部分の植物油に含まれる)に代えて摂取が推奨されています。つまり、体にいい油というわけです。
もう一ついい肉の条件があります。
いい肉とは
いい肉とは自然放逐されて育った動物。
高級と名の付く肉の正体は血統・環境・エサで大体決められているようです。
イベリコ豚といえば高級豚の代表格ですが、イベリコ豚にもランクがあります。
イベリコ豚とは
イベリア種100%純血、もしくはイベリア種とデュロック種を交配させた豚(イベリア種50%以上)のうち、スペイン政府が認証したものをイベリコ豚と言う。
イベリコ豚のランク
- ベジョータ
- セボ・デ・カンポ
- セボ
大きく3つに分けられています。
ベジョータは放牧中にドングリを食べ、良質な脂を蓄え、特徴的なサシ(霜降り)があります。 ベジョータの脂はオレイン酸を豊富に含んでいて、健康に良い効果があるとされ、イベリコ豚の中で一番ランクが高いです。
セボ・デ・カンポは放牧するのですが、ドングリではなく、自然の穀物やハーブなどを食べて育った豚です。
ランクが低いセボは放牧もせず、エサは人工飼料で飼われた豚です。
放牧の有無と何を食べて育ったかがランク分けの基準です。
高級魚トラフグ
フグの中でも高級魚といえばトラフグでしょうか。
天然トラフグは、外海を泳ぎ回っていることで身の引き締まり方がよく、弾力ある身に魅力があります。
その天然トラフグと養殖トラフグの価格には、5倍の差が出ることもあります。
牛でも、牧草で育てられたグラスフェッドの牛と穀物で育てられたグレインフェッドの牛では、 牧草で育てられた牛の方が健康にいい肉です。 グラスフェッドの牛は、2倍から5倍も多いオメガ3を含んでいて、オメガ6も少ない。オメガ6対オメガ3の比率は1・5対1であるのに対し、グレインフェッド牛肉ではこれが7・5対1になる。つまりは、 牧草で育てられたグラスフェッドの牛の方が健康にいいということ。
オメガ6とオメガ3の比率は、オメガ6が多いほど、体に炎症が起きやすく老化しやすい。
魚や肉は質が大切で、値段の高いお肉は、おいしいだけではなく、健康にもいいのです。(摂りすぎなければだけど)
牛の体はその牛が食べたエサでできています。女王バチも働きバチもエサの違いだけで差がつくのです。
もしかして人間も・・・
ここまで読んでくれた方ならこんな疑問も生まれていることでしょう。
もしかして私たち人間も・・・
古事記にも黄泉の国に行ったイザナミは「私はすでに黄泉の国の食物を口にしてしまったので、もとには戻れないのです・・・」とあります。
血統・環境・エサのうち、血統はどうしようもできないが、環境・食べ物により自分自身が変わることができるのではないだろうか?
加工食品ばかり食べていないか?狭い所に(自分の殻)閉じこもっていないか?適度な運動をしているか?いい環境で生きているか?・・・
食べ物に人生攻略のヒントがあるのかもしれません。